宇宙ロケット開発技術を応用した耐火性能塗料による新しい木質耐火建材を製品化

株式会社日進産業は、株式会社芳賀沼製作(福島県南会津町)と共同で、3年間にわたり福島イノベ機構の支援を受け、「木材利用促進のための塗料の研究開発」事業を進めてきました。このたび、日本初の断熱セラミック塗料による木質耐火外壁(非耐力)の1時間耐火大臣認定試験に合格しました。

芳賀沼製作はタテログ構法による間伐材を活用した芯材及び内外装材パネルを製造、日進産業は宇宙ロケット技術である薄膜セラミック層が熱を遠赤外線に変換して放出する技術「ファイアストップ」Ⓡと一定の高温にさらされると水蒸気を発生させ木材の燃焼を遅延させる技術「GAINAミスト」(特許出願中)を既存の建材である木毛セメント板に組み込み、新しい木質耐火外壁を誕生させました。無垢材による豊かな空間創出が可能となり、また木材利用促進による脱炭素社会への貢献が期待できます。

脱炭素社会の実現に向け、2021年に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、以降、建築物への木材の利用促進が一層求められています。また、木質仕上げの建築空間には木材特有の温もりがあり、意匠性にも優れるというメリットがあります。

しかし、木材(無垢材)を表層に利用した場合、火災による木材部分の燃焼が火災を長期化させる可能性があり、結果、構造部材である芯材(木材)を損傷させてしまいます。

そこで両社は、外壁材として間伐材等を表層利用しながら、木毛セメント板に含浸性GAINA「ファイアストップ」を塗布するともに、さらにその上に「GAINAミスト」を組込むことで1時間の火災に耐えうる木質耐火外壁を開発しました。

本製品の特長は次の通りです。

  • (1)建物火災においても耐火性能を保持する、1時間耐火(外壁・非耐力)大臣認定を取得
  • (2)従来の耐火技術は強化石こうボードを使用しているが、木毛セメント板を使用することで雨天時での外での現場施工が容易になる。
  • (3)木毛セメント板は木材をリボン状に削りセメントで固めたものであり、木材利用率が高い。
  • (4)断熱セラミックス塗料GAINAを搭載したことで断熱性の高い木質の壁となり、次世代省エネ基準達成に大きく貢献する。

今後、弊社は、本技術を木造建築物に積極的に適用し、木材利用促進により脱炭素社会の実現に貢献してまいります。併せて、全国の木材資源を循環させるべく林業振興に寄与したいと願っています。

 

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